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アダルト・チルドレンとは

扉絵

アダルト・チルドレン

今回は

『アダルト・チルドレン』という言葉をご紹介します。

 

日本語に訳すと

・アダルト=大人

・チルドレン=子どもたち

 

ここでの子どもたちというのは、

実際に少年少女という意味ではなく、

家庭などでの立場上の、子どもという意味です。

 

どんな子どもたちかと言うと、

養育者(=親など)との間で

ある種の

心の傷つきを負ってきた子どもたちです。

どんな傷つき?

ここでの傷つきは、

養育者の

身勝手さ、機嫌のムラ、

否定的な感情をぶつけるなどといったことに、

翻弄されてきたという傷つきです。

 

身勝手さには、例えばですが、

「自分には子どもよりも大事なものがある」と公言したり、

自分のイラ立ちを子どものせいにしたりがあるでしょう。

 

機嫌のムラには、

その時々の機嫌次第で言動が変わって一貫しなかったり、

突然に怒り出すなどがあるでしょう。

 

否定的な感情をぶつけるとは、

理不尽に頭ごなしに否定し続けたり、

暴言をあびせたりというのも当てはまるでしょう。

 

その結果、子どもの心には

・自分を大事に思えない

・相手の顔色をうかがう

・愛されるために必死になる

・など

といった心理が生まれるのです。

 

いわゆる過去からの『トラウマ』の一種とも言えます。

この場合は

1回の出来事での『トラウマ』ではなくて、

日常的に繰り返された傷つきによるものです。

大人になってからも

そんな子どもたちが大人(アダルト)になっても

なおそういった心理に翻弄されることが続く、

それが『アダルト・チルドレン』なのです。

 

大人になってからも

・自分を大事に思えない

・相手の顔色をうかがう

・愛されるために必死になる

・など

心理が色濃く残っていると

つらさ、生きにくさにも繋がるのです。

 

・自分を大事に思えない→そう思わせられる扱いを体験してきたのでしょう。

・相手の顔色をうかがう→態度を豹変される経験から身に付きます。

・愛されるために必死になる→安定した安心感を保ちにくいのでしょう。

・など→『アダルト・チルドレン』を理由にした心理面の不具合は他にもあると考えられています。

 

引き続き養育者との間で繰り広げられるものもありますし、

別の人との間で展開していくものもあります。

世間全般に対して、そうした姿勢で接していることもあるでしょう。

受けとめ方

子どもの頃から置かれた環境に

疑問を持たずに生きてきていると、

自分の身の上に起きていることでありながら

むしろ身の上であるがために

ピンとこない人もいます。

 

「養育者の厳しさのおかげでなにかを成し遂げられた」といった感謝の念が強かったり、

「養育者の価値観や行動を否定してはいけない」と思い込んだり、

「育ててくれた」と肯定的な面だけを強調したり

しているとなおさらです。

心は、自分自身の心からさえも目を逸らします。

 

それに、

「自分は『アダルト・チルドレン』かも知れないけど、だからって、いまさらなに?」

と突っぱねたくなる人も少なくはないようです。

 

一方、

「自分、それだ」や

「もしかしたら、そうなのかも」

と思う人もいるでしょう。

心理カウンセリングでは

子どもの頃は立場の弱さもあって、

自分自身の身の上が「当然の運命」のように

受けとめがちかも知れません。

 

ですが、

大人になって

自分の人生を歩んでいく中で

『アダルト・チルドレン』という状態からの

脱却を望む人もいるでしょう。

 

ときにそれは簡単ではありませんし、

時間もかかるでしょうけれど、

地道に取り組んでいくことは可能です。

 

心理カウンセリングでは

ひとりひとり、それぞれに適したサポートを考えていきます。

ご相談ください。

補足

最後に、用語に関する補足をします。

 

もともとの『アダルト・チルドレン』はもう少し長い

『アダルト・チルドレン・オブ・アルコホーリックス』という

言葉です。

日本語に訳すと

「アルコール依存症の養育者に育てられた、いまは大人になった人たち」という意味です。

突然にアルコール依存症の話が出てきた印象もあるでしょう。

実は、もともとはアルコール依存症に関する話だったのです。

 

アルコール依存症の人は、それが理由で、

身勝手で、機嫌のムラが見られ、

誰かに否定的な感情をぶつけるなどをしがちです。

そんな養育者がいる環境に育った人たちの支援の現場で

『アダルト・チルドレン・オブ・アルコホーリックス』という

くくりの概念が生まれたのです。

 

のちに

養育者に同じ特徴が当てはまるのなら

と、

いまではアルコール依存症に限定せずに

広い意味で『アダルト・チルドレン』という言葉が

用いられるようになったのです。

 

近年、子どもの立場から

心理的な苦痛を繰り返し味わわせる親を

「毒親」と呼ぶ言葉が広まっています。

そして、苦痛を経験した当事者が「毒親育ち」や「毒親サバイバー」と

自称されるのを見聞きします。

『アダルト・チルドレン』とも共通するところがあると思われます。ご参考まで。

鹿野の顔写真

鹿野豪

公認心理師(登録番号 : 2225)

臨床心理士(登録番号:  17852)

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