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認知症とは

自己正当化の扉絵

『認知症』 という言葉があります。

 

まずは、

専門用語で 『認知』 とはなにかを

ご説明いたします。

認知とは

普段の生活で「認知した」「認知する」という言葉を

使う機会は、あまりないように思います。

ですが、およそ

「ちゃんと正しく確認すること」といった意味で

使われているのではないでしょうか?

 

ここからは専門用語での話です。

 

人の心もしくは脳は、

内側や外側から様々な刺激を受けます。

刺激というのは、この場合は 「情報」 と言い換えても良いでしょう。

それを受けとめ、直感的に反応もしつつ、把握し、

記憶し、思考し、理性でコントロールして、

自分の価値観や周りの状況などと照らし合わせて、

段取りを組み、そして行動に移したり、移さなかったりします。

専門用語では、これら(ここに挙げなかったものも含めて)

一連の働きを

総称して『認知』 と呼んでいます。

 

「心を使った、もしくは脳での、

一連の情報処理を 『認知』 と呼び、

その際、それぞれの働きを 『認知機能』 と呼ぶ」と

いった説明でもいいと思います。

 

ちなみに、感情の発生に関しては、

(参考 >>『心理ブログ』感情について

たいていの専門家は

認知そのものには含めないでしょうけど、

「直感的に反応し」や「理性でコントロールし」などの部分に

絡んでくることが、人間には往々にしてあるでしょう。

(それを 『感受性』 と呼びますが、その話はまた別の機会に。)

認知症とは

『認知症』 とは

記憶という 『認知機能』の障害を含めた上で、

その他にも

『認知』 の機能に

不具合が生じた状態であると言えます。

 

原因は、

いくつか考えられます。

脳に、

ダメージを負ったり、

萎縮があったり、

症状をもたらす物質が溜まったり、

圧力が掛かっていたり…。

それ以外に、

臓器や血液の異常で

生じることもあるそうです。

(私は臨床心理士であり、医師ではない立場上、

ぼかした表現になることをお許しください。)

 

そして、

お医者さんによって「認知症である」と診断される基準は、

「ひとり暮らしができない」です。

 

記憶の機能を含めて『認知機能』に障害が生じているけれど、

ひとり暮らしが可能な程度の場合は、

「軽度認知機能障害」と診断されるのです。

 

「決して、高齢者に限ったことではない」と言えます。

ですが便宜上、

「若年性認知症」という用語も設けられています。

 

テレビ等で「認知症」が語られる時には、

高齢者だけを扱っている場合もあります。

また、物忘れがあるものの、

身の回りのことができ、ひとり暮らしができているため、

「本当は軽度認知機能障害ではないか」と推測される方が

「認知症のある人」として登場されているのを観たこともあります。

専門用語と一般のイメージとの間には溝がある

と言えるわけですが、

結局は、メディアの流す情報に対して、

受け取る我々の側で「認知症」という言葉が

何を指しているのかを判断するしかなさそうです。

 

その判断材料をブログでご提供できたのであれば幸いです。

認知症の心理

さて、ここから

心理の話に移りたいと思います。

 

『認知症』になると、どういった心境になりやすいでしょうか?

ここで個人個人の体験を

あたかも一律として述べることはできません。

その代わりに、

いくつかの場面を例として挙げますので、

「自分だったら」と少し想像を巡らせてみてください。

 

まったくの本心から、「まだ昼食を食べていない」と

あなたが思ったとします。そう周りに言います。

しかし、周りからは

「食べましたよ。それ、さっきも言いましたよね」と

少しイラっとした声で返されたとしたら…。

 

もしくは、

周りの人たちが誰が誰だかも分からなくなって、

何を話しているかも理解できなくなったら…。

変な例えですけど、

自分がスペイン語を話せないのに

スペインのやたらと賑やかな酒場に

ポツンとたったひとり置いていかれたとしたら…。

 

今までは普通にできていた日常生活の

段取りが、突如として、

できなくなってしまったとしたら…。

 

そんな心境を思い描いてみてください。

 

戸惑い、腹立たしさ、居心地の悪さ、怖れ、自尊心の低下…、

それに、混乱、怒り、被害的な思い込み…。

不快感とともに、いろんな気持ちが湧いてくるでしょう。

 

ご自身で『認知症』や『軽度認知機能障害』を

自覚されている方は、

他のご病気の方にも当てはまることですが、

つらいながらも、

現実を受けとめて、

可能な範囲での最善の生き方を模索することになるでしょう。

 

自覚できない方もいます。

その自覚できなさは『認知症』に見られる特徴のひとつです。

認知症のケアやサポート

『認知症』の治療において、

まずは医師による診断、

医療的なケアが優先されます。

 

状態が安定してきたら、

周りの方々は、

…周りの方々の心境もまた大変かも知れませんが…、

ご本人の心について考えてみましょう。

 

まずは安心感が少しでも高まる工夫からです。

 

例えば、

「まだ昼食を食べていない」という発言に対しては、

「ごめんなさい、お待たせしてますね。

準備が遅れちゃって。

最近は、お野菜も美味しいみたい。

美味しいお野菜と言えば…」

と返すといったように、

「優しい嘘」であったり、話を逸らすといった工夫を。

 

できていたはずの趣味が、できずに不貞腐れるしかないでいたら、

より簡単で、楽しめそうな趣味をさりげなく提案する

といった工夫を。

 

記憶は飛んでしまうので、メモを使うなど、

「困った時は誰かが助けてくれるから大丈夫」と

その人が思えて、安心して過ごせるような工夫を。

 

そうは言っても、

上手くいかない時も多々あるものです。

ご本人や、ご家族など周りの人にとっても、

心苦しく、苦難な状況もあろうとお察しします。

 

ですから、

まずは認知症のケアの専門家や、

そういった活動に詳しい人と連携をとる

という機会や可能性を探してみていただきたいと思います。

 

心理カウンセラーも、それぞれのご事情に合わせた

心理面のサポートに取り組みます。

 

悩みを分かち合い、声を掛け合って、

一緒に「工夫」を考案していく取り組みの

さらなる広まりに期待しております。

※ 当ブログで記す 「心理カウンセリング」 とは

 川越こころサポート室が提供するものを想定しております。

 他機関の専門性を保証するものではないことをご了承ください。   

鹿野 豪

川越こころサポート室のロゴ

シリーズ:心理アセスメント概念

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