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ドミノキック症候群

扉絵

症候群とは

「症候群(しょうこうぐん)」という言葉、

聞いたことありますか?

実は、医学と心理学では使われ方が異なります。

 

医学では、症状のくくり(病名)として使われます。

 

心理学では、なんらかの現象を示す心の傾向のくくりを指します。

 

なお、お医者さんが「心理学の意味」で「症候群」を使っても

さしさわりはありません。

厳密というものでもありません。

ひとの心理も「脳の中でなにか起きてる」と考えると医学ですしね。

とりあえず、まぎらわしいので区別の話を最初にしました。

 

どちらもカタカナでは「シンドローム」と言います。

ドミノキック症候群

並べられたドミノを蹴っとばしたら、どうなるの?

 

…どうなるんでしょう、ねぇ?

 

ドミノ倒しというのは、

本来は緊張感の中で慎重に並べて、

いざ。カタカタカタカタ…と順に倒れていくもの。

その前に蹴っとばしてしまったら?

 

それって、どうなるんでしょう?

 

答え:バラバラバラーと倒れて「うわぁー」ともったいない感じになります。

 

答えは分かっていて、味気無いです。

ですが、当事者の心境は

禁じられていることをしたら、どうなるんだろう!?

といった、スリリングそそるものなのかも知れません。

 

ドミノキック症候群とは、

禁じられたことを無性にしてみたくなる心理を持つ人々を指します。

この「症候群」は心理学的な意味ですね。

ドミノキック
『ドミノキック』(ガンガンコミックス)

※『ドミノキック』は下神木るこによるギャグ漫画。やってはいけないとされていることをやりたい衝動に駆られる主人公の心理が近年「ドミノキック症候群」と呼ばれていることに基づいて、本ブログは書かれています。


ドミノキック症候群は、

これまでの心理学では

脱抑制(だつよくせい)と呼ばれる心理に近いところがあると思われます。

脱抑制

抑制とは、心理的になにか自由を制限されている状態のことです

 

対して、脱抑制というのは

抑制を脱しようとする心の動きのことです。

 

どうして脱抑制が起こるのでしょう?

上の解説からそのまま、

「心は自由を求めている」

「自由を制限されている抑制から、脱しようというのは当然」

という心理で論じることもできるでしょう。

 

ただ、

実際はそんな単純でもないのです。

心が求めているものは

自由。

自由を味わう快の感覚。

それを知っているのなら…それを予測するのなら…

心が求め、

抑制に反発するのも当然。

だからこそドミノキック症候群になるのだ、と言えます。

ですが、それだけとは限りません。

 

(1)ひとつの側面として、

その人なりの内面の欲求にまつわる

自己表現を意図している面もあるのかも知れません。

 

周りが驚いて一気に関心が集まるだろうとか、

蓄積した鬱憤を晴らせるだろうとか、

さえない気持ちから変わるんじゃないだろうかとか、

無意識に持っている抑制への疑問を払い退けられるだろうとか、

他にもいろいろ、

そして複数ある可能性も考えられます。

 

自己表現としての脱抑制の意味は、ひとによって異なります

ストレートではなく、意味が変わっている場合もあります。

いずれにしても、

知っておくのは大切な自己理解と言えるでしょう。

 

(2)もうひとつの側面は、

「酔っぱらったら」や「疲れていたら」でイメージされるように

脳神経的に抑制が利かなくなって脱抑制に走ってしまうことがある

というものです。

 

これも個人の弱点としてあるのなら、

あらかじめ知っておくことが自己理解だと言えます。

自分ひとりでコントロールしにくいものであれば

誰か弱点を知っていてくれる理解者がいると心強いでしょう。

結果を考える

禁じられたことをしたら、どうなるの?

 

気の弱い自分がイヤだと思っている人が、隠れて公共のモノを壊す。

なぜだか満たされなさを背景に、不倫をする。

世の中が気に入らないから、盗みをする。

リアルが満たされない反動で、ネットで悪さをする。

注目を集めたくて、目立つ危険なことをする。

 

それって、どうなるの?

 

結果は分かっていて、たいがい味気無いはずなんですけど、

当事者にとっては…(スリリングでそそるものなのかも)。

 

そうです。

心にとっては快をともなうという意味がある、

だけど、

それに従ってしまうと本人の立場は暗転しかねません。

わざわざ禁じられたことをするわけですから。

 

できるだけ早くに自覚し未然で我に返ること、

また、脱抑制の欲求に対策を立てておくことが重要なのです。

自己理解のすすめ

ドミノキック症候群。脱抑制。これらの言葉が思い当たるのなら、

ぜひ時間をとって、紙に書き出すなどして、

抑制への反発

自分だったらなにをしそうかを挙げてみてください。

 

しても問題に発展しないものなら、それは良いストレス発散法です。

適切な時・場所・機会に活用しましょう。

 

もし自分ひとりでは理解が進まなければ、

心理カウンセリングでは自己理解のお手伝いをいたします。

心というのは、誰かひとに言葉で伝えて、

ありのままを受けとめられることで、

自分でも良し悪しの評価をせずに観られるようになっていきます。

 

なお、脱抑制の「型」が出来上がって心に定着してしまっていたら、

それは「依存」という心理になっている場合があります。

依存症には、適切な取り組みがカギとなります。

それもまた、ご相談ください。

鹿野 豪 (公認心理師・臨床心理士)

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※ 当ブログで記す 「心理カウンセリング」 とは

 川越こころサポート室が提供するものを想定しております。

 他機関の専門性を保証するものではないことをご了承ください。    

※ブログをお読みいただいた方より、抑制への反応として「カリギュラ効果」「心理的リアクタンス」があることをご指摘いただきました。ありがとうございました。ご関心のある方は、ぜひそれらの言葉も関連づけて憶えてください。


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