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強迫性障害とは(前編)

 今回は、少し長いです。

 

前編・後編に分けて 『強迫性障害』 について解説します。

 

「〇〇がやめられない」や「〇〇のことが頭から離れない」など 

理性を超えるほど固執してしまう心の働きは、

なんとなくで結構ですが、イメージできますでしょうか。

強迫性について

強迫性は「強く」「迫る」と書きます。

文字通り、特定の事柄に

気持ちや、思考、行動が強く引き寄せられてしまうことです。

 

ひとことで言うと、「強迫」とは「とらわれ」のことです。

 

どうしたら強迫性の欲求が満たされるのかというと

実際に該当の行動をする場合もあれば、

強迫観念が頭をグルグル回ったり

特定の言葉を呟き続けるといった場合もあるでしょう。

 

「依存」や「嗜癖(しへき)」と呼ばれる心理とも、

心の仕組みという意味では重なる部分があります。

 

まず、 

強迫性には様々なものがあるので、共通点を確実に押さえておきましょう。

強迫性の共通点

それは、

「強迫性を覚える事柄との関係性が適わないと、

もしくは実現させられないと、

ひどく気分が不安定になり、不安感が増す」という特徴です。

 

 その点で、「こだわり」であったり、「夢中な状態」、

「癖(習癖)」、「強い思い込み」などとは

似ていても、区別できるのです。

 

強迫性が適わなかった時、不安になります。

 

ここでの「不安」とは、心の一時的な状態、心のコンディションのことです

強い不安では、うつっぽくなったり、機嫌が悪くなったり、やたらと怖れを覚えるようになります。

弱い不安では、落ち着かなくなったり気持ちが乱れたりします。

 

強迫性は、不安の心理と表裏一体なのです

強迫性障害とは

強迫性障害という用語における

「障害」とは、

「不自由が生じている」という意味です。

 

生活上の支障や問題が起きていたり、

自身が惨めさを感じたり気分が安定しないなど、

ひとくちに「不自由」と言っても様々でしょう。

 

強迫性障害は、

強迫性によって

不自由になっているのに、やめられなかったり、頭から離れなくて、

しかも適わないと不安が高まってしまうという

障害に陥っている状態です。

 

「やめられない」という意味ではよく似ているけど、

依存症とはどう違うの?という疑問に対する答えですが、

やはり仕組み自体はおおよそ重なります。

その上で、用語の分け方となると、

「買い物依存症」や「ギャンブル依存症」

「アルコール依存症(アルコール嗜癖と呼ばれることもあります)」といったように、

対象があって周りの人から見て了解がそれなりに可能なものが「依存症」とみなされ、

一方、

客観的には意味内容が分かりにくかったり、思いが個人的であるために、

一般化しにくいものが

「強迫性障害」とみなされてきたように私は理解しております。

例えば、手を洗う行為がやめられない(手洗い強迫)などです。

私見ですが、そのように区別して問題は無さそうです。

前編のおわりに

強迫性を覚える対象や内容は、これも人によります。

ですが、繰り返しの解説になりますが、

いずれの場合にも共通して、

「やめられないから強迫性だ」と捉えるのではなく、

心理面で「適わないと気分が不安定になり不安が増す」のかどうか

をチェックしてください。

 

>> 後編はこちら

鹿野 豪


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