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心理アセスメントとは

扉絵

アセスメントとは「把握」を意味します。

 

そして

心理アセスメント』というのは

心理面の支援必要かつ充分な情報

把握することです。

対話と心理検査

身近で『心理アセスメント』に似ているものと言えば…。

 

病院を受診した際に

お医者さんと話す問診があったり

検査を受けたりしますね。

 

心理カウンセラーもまた、

対話を通じて心理面やそれにまつわる事柄を確認したり、

心理検査というものにご協力いただくことがあります。

 

様子から察したり気づいて

理解に繋げるというのもあるでしょう。

 

そうやって

心にまつわる要素を把握していく行為が『心理アセスメント』です。

なにを把握するのか

『心理アセスメント』とは、なにを把握することなのか。

これこそ、とても重要な問いです。

 

把握するのは、心にまつわる要素です。

それは多岐にわたります。

片っ端から順に尋ねれば良いというものではありません。

状況によって把握すべき優先順位もあります。

局面とともにどんどん把握すべき内容は変わります。

 

なので

どんなに熟練したカウンセラーでも、

「なにを把握するのか」についての

自問自答からは逃れられないのです。

 

「なにをもって必要・充分に把握したとみなすのか」。

これについても同様です。

心理カウンセラーは

どういった要素をどこまで把握したらいいのか

自問自答をくりかえすのです。

誰が把握するのか

心理カウンセラーが

心理面の支援のために必要かつ充分な情報を把握するのが

『心理アセスメント』です。

 

実は、ここで忘れてはいけないことがあります。

 

心理カウンセラーは専門家として把握していこうとするわけですが、

同時に関わりを通じて

相談者も伝えながら一緒に把握をしていきます。

そこには両者の間に把握が共有されるという過程があるのだと言えます

 

ピンと来た方もいらっしゃるかと思いますが、

こうした過程の質こそが相談者にとって重要です。

ひとりで抱えてきた事情を共有して

これからはカウンセラーとの間で一緒に抱えていく、

そのことがすでにカウンセリングの一部になっているのです。

 

ちなみに、

カウンセリングによっては、最初の聞き取りをする

インテーカーという人と会う場合もあります。

その場合も、相談者が把握するという面は重要なのです。

心理検査

心理検査というのは聞いたことありますか?

 

遊びとして出回っている「心理テスト」の、

データに裏打ちされた本物バージョン。

深層心理だけでなく、心理機能や精神状態に関して

把握をよりスムーズにするための補助的な道具です。

 

アンケートのような質問項目に回答していくタイプもあれば、

クイズやパズルや連想みたいに取り組むタイプもあります。

 

心に関して実際になにかしらの不具合や困難さがあるのに

本人は「他の人もそんなもんだろう」と思い込んで

自覚していない状態は決して珍しくありません。

そうした見落としを防ぐのにも役立ちます。

 

特に気になる点が無いければ

心理検査を実施しないという流れもあります。

なにより

心理検査を受けること自体が

その人にとってどういう意味を持つかが肝心です。

アセスメントの要素

アセスメントは「当てはめ」ではありません。

あくまで個人の心を状態や特徴を把握するために、

より多くの

心理学(または精神医学)で定められた要素を

ポイントとします。

 

心には、どういった要素があるのでしょうか。

 

仮に「つらい思いをした」エピソードに沿って見ていきましょう。

エピソードの例は

「道を歩いていて急に暴言を吐かれてつらかった」とします。

 

暴言を吐かれた」は

誰でも思わず身構えるであろう出来事なので

『緊張』しただろうと想定します。

その度合いについては尋ねて良いと思います。

 

急に」に関しては

『刺激への耐性(たいせい)』はどうか。

強いショックを受けたのか、

もしくは「え?」という戸惑い程度だったか、

などです。

その瞬間の『不快』の感覚はどうだったか。

 

その際に

思わず『興奮』したか『硬直』したか『逃避』したか。

その他には

一時的にへこんだ心が元の状態に回復する力を意味する

『レジリエンス』という言葉もあります。

 

つらい」というのは『感情』ですが、

どんな風に『感情』が湧いて、

それに対して心はどう反応したか。

 

なにを思ったかについては、

『価値観』や『性格』を背景に、やはり個人差があるでしょう。

とっさの『行動』はなにをしたのか。

どういう『思考』が浮かんだか。

 

それはどう『気分』に影響したか、

機嫌』に影響したか、その後の『行動』に影響したか。

それらがどのくらいの時間の流れで経過していったか。

 

「道を歩いていて急に暴言を吐かれてつらい思いをした」。

このエピソードがカウンセリングの場で

語られるべくして語られたのだとしたら、

『心理アセスメント』の要素は

例えば上記のような感じです。

ただし網羅はしていなくて、挙げればまだまだあります。

心理カウンセラーからみなさんへ

心理カウンセラーは

『心理アセスメント』のために質問をしますが、

分からない時には「分からない」と

おっしゃっていただいて問題ありません。

 

対話も心理検査も

1回の把握が決定的ではないので、ご心配なく。

把握が進んでいく間にも

心理状態が変化したり気づきが増えていくのは当然なのです。

 

心理カウンセリングなど心理面の支援における

『心理アセスメント』というものを

イメージしていただけましたでしょうか。

鹿野の顔写真

鹿野豪

公認心理師(登録番号 : 2225)

臨床心理士(登録番号:  17852)

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