· 

無自覚について(無意識 編)

扉絵

結局は脳の機能にまつわる話でもありますが、

メインは

心の機能をイメージで理解する話です。

 

『自覚』 という言葉の意味は、

文字通り、

自ら覚えがあるということになるでしょう。

自分自身について、認識や把握ができて、

分かっているということです。

 

無自覚』 は、自覚が無いということです。

 

には、

心の中にある記憶や体験といった要素を

無自覚にさせる働きをする機能がいくつかあります。

今回はその中から、

『無意識』 という機能について書きたいと思います

無意識とは

『無意識』 を解説するために、

のブログでは、箱に例えてみましょう。

 

もっぱら使っている心を「部屋」だとして、

とある記憶を「箱」の中にしまったとします。

 

快い記憶であれば、いつでも開けたくなるでしょう。

では、苦々しい記憶であれば、どうでしょうか?

あえて開けたくはならないですね。

 

心の中の無意識という箱に入れてしまうことで、

無自覚になるのです。

 

ただし、

その箱は部屋にあって、視野に入るので、

自覚はしていなくとも、影響は受けたりします。

それが無自覚なまま生じる

『無意識』 からくる作用と考えられるのです。

一般で用いられる「無意識」

「無意識」という言葉は

一般に広く用いられていると言えるでしょう。

ペンが転がって机から落ちそうになったから

「無意識に手を伸ばした」と、

このように使われることがあります。

心理学では、これを 『非意識』 と呼びます。

 

一方、

過去の経験において、ペンを落としたがために

誰かにからかわれたという、

嫌な思いを体験しており、

それが影響して思わず慌ててつかんだのだとしたら、

心理学の意味としても

無意識』 に該当すると言えるでしょう。

 

なお、私は

一般の「無意識」という言葉の用い方が

本来の専門用語と違うからといって、

改めて「非意識」にする必要はないと思います。

ただ、言葉の意味の違いを知っていると

心の現象をより深く理解できて

面白いのではないかと思っています

フロイト(1856–1939)

フロイトという精神科医がウィーンで活動していました。

 

フロイトは、神経症と呼ばれるような心の病み方の原因には、

無意識の中に入れてしまった要素の影響があるのではないか、

そのように考えたのです。

フロイト肖像画
フロイト

心の治療で定め得る目標として、

このブログの例えで言うと、

「どの箱も怖れずに開けられるようになること」

挙げられるわけです。

 

フロイトの最大の功績を「無意識の発見」と

評価する声があります。

 

ただし、本人が嫌で「開けたくない」と

心底から思っている要素に対する取り組みが

いかに難しいことなのか、

それは想像に難くないでしょう。

 

フロイトも、

無意識にある要素を意識にあげる方法論を構築しようと

思案を重ねました。

また、

必ずしも、なんでも無意識から出すことが

治療になるわけではないとも気づいていたのでしょう。

様々な技法を考案していきます。

 

ここでは簡単に述べるにとどめますが、

無意識の意識化を含めた

フロイトの技法は

『精神分析(せいしんぶんせき)』 と呼ばれるようになります。

無意識の意味

無意識という機能は誰の心にもあり、働いています。

 

心の中の要素を箱にしまっておくわけです。

丁寧に箱に詰める人もいる一方で、

ごちゃごちゃのまま押し込みがちな人もいます。

 

時には、それが、

感受性に影響し、判断に影響し、行動に影響するでしょう。

人柄を形成する一因にも成り得ます。

 

「忘れてたけど、自分はそんなところに影響を受けていたんだ」

という気づきは、誰にとっても普通にあることです。

 

問題となるのは、

つらさから無意識の箱に詰めて封をして、

そのままにしておき、

無自覚な要素によって翻弄されてしまったり、

心理的に苦しくなったり、

なんらかの神経症症状に結びついてしまっている時なのです。

無意識と心理カウンセリング

ここまで読んで、 『精神分析』 という取り組みに

関心を持たれた方もいらっしゃるでしょうか?

 

心理カウンセリングで

『精神分析』 に基づいた取り組みをするのは

多くの人にとって有益にもなるでしょう。

しかし、気をつけなければならないのは、

取り組み方を誤ると

有益にならないこともあるという点です。

 

部屋と箱の例を使って説明しましょう。

 

部屋に、箱を開けて広げるスペースの余裕が無い場合。

そのスペースを確保するよう、部屋の整理整頓が先決でしょう。

心でも同じです。先に気持ちの整理が優先となることもあります。

 

箱の中に、対処できないほどのものが入っている場合。

あまりに気が滅入って日常生活に支障をきたすようなら、

ひとまず箱の存在を認識しつつ、開けず、

その存在を気にせずに

それでも自分らしく過ごせるようにと検討するのが良いかも知れません。

 

優先順位として、他に順位の高いことがある場合。

仮に、誰かと揉めている状況だとしたら、

箱を開封している場合ではなくて、

先に揉め事を解決した方が気が楽になるのかも知れません。

 

部屋の調子が悪い場合。

心の調子が悪い場合です。

調子を整える方に専念した方が良いのかも知れません。

 

カウンセラーにご相談いただければと思います

その他の無自覚について

無自覚は、

心の 『無意識』 の働きによって起こるものばかりではありません。

 

次は、

『解離』という心の機能について解説いたします。

>>『心理ブログ』無自覚について(解離 編)

※ 当ブログで記す 「心理カウンセリング」 とは

 川越こころサポート室が提供するものを想定しております。

 他機関の専門性を保証するものではないことをご了承ください。    

※ 今回ご紹介した フロイトの理論と人物像 には、

 ブログ記事用に、再解釈し単純化をしたところがございます。

鹿野 豪

川越こころサポート室のロゴ

電子書籍のご紹介

臨床心理学ってなに?の表紙絵

amazon kindle(電子書籍)にて発売中