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自己肯定感とは(前編)

扉絵

『自己肯定感』とは、

自分で自分を肯定する際の『感覚』です。

 

「自分はこのままの自分でいい」と

自己肯定して思えているときに

味わっているのが『自己肯定感』という『感覚』なのです。

 

ちなみに向上心とは必ずしも矛盾しません

自己肯定感の上に向上心が成り立つからです。

 

「感」と付くことから分かるように、

『自己肯定感』の概念を正しく理解する上ためには、

それが

「自己を肯定する行為や、発言、思考」を意味するわけではなくて、

「心の『感覚』の一種である」という視点が重要です。

 

あえてシンプルに言うと、

味わえると気持ちが落ち着くでしょうし、

味わえないとつらくなったりするでしょう。

 

次のような状態がありえます。

・『自己肯定感』が味わえている。

・『自己肯定感』が味わえない。

・『自己肯定感』が味わえず、自己否定をする。

 

『自己肯定感』の心理に実に様々な要素が絡みます。

今回は、そのうちのいくつかをご紹介していきます。

成功体験

『成功体験』が『自己肯定感』に結びつくというのは、

因果関係としてイメージがしやすいのかと思います。

「成功」の体験を重ねることで、

自分で自分を肯定する気になっていくというイメージです。

 

ですが、

「ポジティブ」といっても『価値観』の話なのか、

「成功体験を通じて『自己肯定感』を味わおう」という意欲なのか、

区別が必要です。

なぜなら、全く同じ経験をしたとしても、

個人の中の『価値観』が違えば、「成功」の意味も、

『自己肯定感』に結び付くかどうかも、違ってくるからです。

 

「成功」や「失敗」は、いわゆる「評価」です。

「評価」とは

言うなれば『価値観』からくる『判断』です。

 

ちょっとまわりくどくなりましたが、

結局は、

体験に対して本人の心が自己肯定感』を覚えているかどうか

そこが肝心です。

「成功したら意欲があがった」だけでなく

「失敗したけど得るものはあった」といったような

「評価」に左右されない『自己肯定感』を

見出したいものです。

基本的信頼感

次に、

『基本的信頼感(きほんてきしんらいかん)』という言葉を挙げたいと思います。

いくらか幅広い使われ方をする心理学用語なので、

ここでは私の解釈として紹介します。

 

この「基本的」は「そもそも」と言い換えられます。

 「そもそも信頼できる感覚」

『基本的信頼感』です。

「なにを」かと言うと、「自分を」「他者を」「社会を」です。

 

ちなみに、逆が『不信』です。

 

『基本的信頼感』が保てない心理は、余裕の無さに繋がります。

反対に『基本的信頼感』が保てていると、心に余裕が生じます。

 

『基本的信頼感』は、

穏やかな居心地の中で安定していくと考えられます。

また、「評価」とは関係の無い経験などをつうじて

得ることもできるでしょう。

 

この『基本的信頼感』も

『自己肯定感』にも通じる心の働きだと考えられます。

自己愛

続いて、『自己愛』という言葉を

心理学的にご説明します。

 

誰しも、心の中に独自に

「自分のランキング」のようなものを持っています。

大事さや優先順位にまつわる個人的なランキングです。

 

『自己愛』というのは、その心の中のランキングにおいて

自分自身の順位が他よりも比較的高く位置付けられていることを指す言葉です。 

 

ここでは『基本的信頼感』と組み合わせて、

4つに分類してみましょう。

 

(1)『自己愛』が高い&『基本的信頼感』が高い

 自己愛的であり、余裕のある心の状態

 

(2)『自己愛』が低い&『基本的信頼感』が高い

 自分を高く位置づけないけど、余裕のある心の状態

 

(3)『自己愛』が高い&『基本的信頼感』が低い

 自己愛的であり、余裕のない心の状態

 

(4)『自己愛』が低い&『基本的信頼感』が低い

 自分を高く位置づけず、余裕のない心の状態

 

(3)のように、自己愛的でありながら、

あやうい『自己肯定感』の持ち主もいます。

 

『自己愛』と『自己肯定感』は、必ずしも一致しないのです。

自己否定

『自己肯定感』の低さから、

自己否定をしやすい心理状態になることがあります。

悪循環におちいってしまいやすいです。

 

なお、自己否定がネガティブに自分を評価しているとしても、

それに対して『自己肯定感』を持つ現象もあります。

「ネガティブな自分だけど、それでいいんだ」は、

そう思えてホッとする現象もあるわけです。

 

あらためて、これも、

『価値観』としての「ポジティブ」と

『感性』としての『自己肯定感』の

違いからくるものと言えるでしょう。

 

心は『自己肯定感』に絡んで、

様々な過程でねじれを生みます。

自覚しにくかったり、

ひとりではねじれた心理が落ち着くので定着したりも起きます。

 

『自己肯定感』と自己否定の関係性について

詳しくは >> 自己肯定感とは(後編) に書きたいと思います。

自己肯定感を育むために

整理してみましょう。

 

『自己愛』は『自己肯定感』と必ずしも一致しませんでした。

化粧品の広告で「もっと自分を好きになる」という

フレーズがあるとしたら、

『自己愛』を補っているだけなのかも…と考えるのは

うがった見方でしょうか。

 

『基本的信頼感』というものの獲得は

気持ちの安定に繋がります。

自分自身や、他者、社会とのつきあいの中で

決定的な『不信』におちいらない経験を重ねるよう

つきあい方を見直していくのも良いでしょう。

 

「評価」にとらわれないよう気をつける必要があります。

「成功」が決して良いわけではありません。

 

れでも世の中に「評価」は無くならず、

「成功」「失敗」も存在するのだとしたら、

自己肯定感を育むために、できること。

そのひとつは、「成功」や「失敗」の捉え方を

調整していくことではないでしょうか。

褒める教育の終焉

「成功」「失敗」の捉え方を、

見直す時がきているのかも知れません。

いえ、

「もう以前から見直されているよ」と

当然のこととしておっしゃる方もいるでしょう。

 

かつて私が大学の教育学部で学んでいた2000年代は、

「叱る教育では限界がある。褒める教育に変えていく必要がある」

声高に語られていたものです。

 

しかし、それ対する反論・異論は明確でしょう。

「褒めることで、悪い意味で調子に乗らせてしまう」というものです。

褒める教育は、心理的に増長を生み、

変にプライドの高い人にさせてしまうというわけです。

(参考 >>『心理ブログ』プライドの心理

心理学の用語では、

高い『自己愛』にこだわるようになってしまう、と言えるでしょう。

 

一方で、

ねぎらわれる、認められる、といった体験は『自己肯定感』に繋がります

 

自分で自分をねぎらったり認められるようになることであったり、

お互いにねぎらい合えたり認め合える人間関係。

それが『自己肯定感』を保ったり作り出していく

道のひとつとなると思います。

(詳しくは >> ほめる・しかる論争

鹿野の顔写真

鹿野豪

公認心理師(登録番号 : 2225)

臨床心理士(登録番号:  17852)

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