· 

聴く技術(1)

扉絵

トラ&ミケ

ミケ(右)「新発売のキャットフード。昨日、うちで食べたの」

トラ(左)「へぇ」

ミケ「これまでのと違って、めちゃくちゃ柔らかかったよ」

トラ「そうなんだ~」

ミケ「どっちかと言うと歯ごたえがある方が好きなんだけど、柔らかいのも悪くないなって思った」

心理カウンセラー

鹿野の顔写真
鹿野(公認心理師・臨床心理士)

こんにちは。鹿野です。

聴く技術のブログへようこそ。

 

心理カウンセラーが

話を「きく」と書く時には、

ただ耳で「聞く」のではなく、

語りとして「聴く」の漢字を用います。


親身に聴くことを常に心掛けています。

ただ実は、それだけではなく、技術の面もあります。

 

今回のブログでは、その断片をお伝えしようと思います。

話の場に注目

体験談をする際に、

ふたつの場面があるということは

普段、意識されているでしょうか?

 

「昨日、うちで食べたの」といったように、

過去に、どこかで、

経験したことを

いま、ここで、

伝えようとします。

 

場面は、おおきく言うと、これらふたつに分けられます。

「過去に、どこかで」と「いま、ここで」です。

過去に「ここで」というパターンもありますが

それも「どこか」に含めてください。

ゼア&ゼン

「ここではないどこかで」「過去に」。

英語ではそれぞれ

「どこか」=「ゼア(there)」

「過去に」=「ゼン(then)」と言います。

 

「あの時あそこで」は「ゼア・アンド・ゼン」と憶えてください。

 

ミケ「新発売のキャットフード、昨日、うちで食べたの」

  

これはゼア&ゼンの話です。

その時の感想が、次のように続きます。

 

ミケ「これまでのと違って、めちゃくちゃ柔らかかったよ」

 

これも同様にゼア&ゼンにおける体験です。

ヒア&ナウ

「ここで」「今」。

英語でそれぞれ

「ここで」=「ヒア(here)」

「今」=「ナウ(now)」と言います。

 

「いまここで」は「ヒア・アンド・ナウ」と憶えてください。

 

ミケ「どっちかと言うと歯ごたえがある方が好きなんだけど、柔らかいのも悪くないなって思った」

 

この内容は、たしかに「思った」が過去形ですが、

ミケが目の前のトラに自分の思いを伝えているところです。

トラは、いまここで、それを知ったわけです。

その意味ではヒア&ナウを見出すことができます。

ゼア&ゼンとヒア&ナウ

ミケ(右)「新発売のキャットフード。昨日、うちで食べたの」

トラ(左)「へぇ」

ミケ「これまでのと違って、めちゃくちゃ柔らかかったよ」

トラ「そうなんだ~」

ミケ「どっちかと言うと歯ごたえがある方が好きなんだけど、柔らかいのも悪くないなって思った」

この対話に、聴き手のトラの合いの手を足してみましょう。

 

ミケ(右)「新発売のキャットフード。昨日、うちで食べたの」

トラ(左)「へぇ。どんな感じだった?(1)

ミケ「これまでのと違って、めちゃくちゃ柔らかかったよ」

トラ「そうなんだ~」

ミケ「どっちかと言うと歯ごたえがある方が好きなんだけど、柔らかいのも悪くないなって思った」

トラ「じゃ、ひとにオススメしたい?(2)

ミケ「そうね。トラがまだ食べてないなら、1回試してみたら?」

(1)は、昨日の印象について(ゼア&ゼン)尋ねています。

(2)は、いまどう思うか(ヒア&ナウ)尋ねています。

 

もっとシンプルに、

その時、どう思ったの?」「今はどう思う?」でも良いですよね。

他にも「口に入れた瞬間はどうだった?」と

ゼンを短く限定したり、

あれからどう?考え方は変わった?」と

何日にもまたがるような長めにとった尋ね方もあります。

 

聴く技術は奥が深いのです。

 

鹿野の顔写真

鹿野豪

公認心理師(登録番号 : 2225)

臨床心理士(登録番号:  17852)

>> はじめまして

川越こころサポート室のロゴ

※ 当ブログで記す 「心理カウンセリング」 とは

 川越こころサポート室が提供するものを想定しております。

 他機関の専門性を保証するものではないことをご了承ください。    


↓心理ブログ一覧はこちら

心理ブログ一覧へ

↓川越こころサポート室についてのブログ一覧はこちら

心理ブログ一覧へ


電子書籍のご紹介

臨床心理学ってなに?の表紙絵

amazon kindle(電子書籍)にて発売中