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図星をつかれ隙

扉絵

今回は、少し怖い話なのかも知れません。

 

他のひとにバレないように

隠している自分がある

としましょう。

 

本心、本音、

本性、秘めてきた好みや欲求、

弱さ、心の痛み…など。

誰にも明かすこと無く

心の内に隠しているものが

あるとしましょう。

 

それを見抜かれた時、どう思うでしょうか?

 

「うわ、図星をつかれた」

「痛いところつかれた」

「嫌だな、隠してるのに…」

 

そういった反応はよくあるでしょう。

ガードを上げるような防御的な姿勢。

では、

次のような反応はどうでしょうか?

 

「わぁ、本当の自分を分かってくれるのは、この人だけだ!」

 

そのような体験、想像できますか?

これがあり得るのです。

その時なにが起きるか

心の中にある

隠してきたものや、出してはいけないとばかり思ってきたもの、

それをまるごと受けとめてくれる人がいると分かって、

思わず『感動』してしまうことがあるのです。

 

心の底から自分を解放できる相手を見つけた安堵感。

 

まるで救われたかのような感覚。

 

孤独が一気に癒される強い肯定的な体験。

 

その時、

『感動』と同時に、

心理状態はとても無防備になってしまいます。

心に隙が生まれる、と言っても良いでしょう。

 

相手が信用に足る人物であればいいのですが、

信頼関係ではない、

対等な友好関係でもない、

別の目的を持った悪意ある人物だったとしたら…?

 

心の隙につけ込んでくる悪意があるとしたら、やはり怖いです。

 

世の中には悪い詐欺師がいて、

狙うタイプの人、つまり

「本当の自分を受けとめてくれるのは、この人だけだ」と

思い込むタイプの人をターゲットに定めて、

たどり着くまで

手あたり次第に

似たようなことを言っているかも知れません。

 

「わぁ、本当の自分を分かってくれるのは、この人だけだ!」

と思った時に生じる心の隙が狙ってくるわけです。

 

例えば、

老後の生活資金に強い心配がある人に、

「貯蓄だけで本当に大丈夫なのか、不安ですよね?」と話をする。

そんな親身に本心を分かってくれる…かのような相手に対して

「そうなんです!分かりますか!?」と、

心に隙ができる、という話です。

 

図星をつかれた時の心の隙、

怖いですね。

先に自己理解してしまう

「怖い」「怖い」ばかり言っても

らちがあきません。

そこで対策をひとつご提示します。

 

心の中にある

本心、本音、

本性、秘めてきた好みや欲求、

弱さ、心の痛み…。

他のひとにバレないように隠している自分について、

つけこまれる前に、

話しても大丈夫な相手に

包み隠さず話す体験をしてしまおう

という方法です。

 

この方法の意味を

考えてみてください。

 

私も心理カウンセラーのひとりなので、

我田引水に聞こえるのも覚悟の上ですが、

心理カウンセリングの場で

先に

心の中に隠していることを話して

『自己理解』として受けとめていれば、

それだけ心の弱点が減るのと同じなのです。

 

図星をつかれても、

「ああ、知ってる。自分、そういうのが心の中にある」と

冷静に落ち着いて対応できるのが目標です。

 

その上で、良い相手なら親しくすれば良いし、

悪意ある相手なら距離をとれば良いのです。

 

一瞬の心の隙につけこまれないことが重要です。

 

話しても大丈夫な相手に

包み隠さず話す体験をするというのは、

できるなら

心理カウンセリング以外でも構いません。

話を親身に聴いてくれる友だちがいるのなら…

同じような体験をしている仲間と語り合えるなら…

それでも良いわけです。

 

あくまで参考として、

次に、

心理カウンセリングと

その他の人間関係との違いを

書いていきます。

カウンセリングでは

公認心理師や臨床心理士との

心理カウンセリングでは、

カウンセラーと利用者さんの間で、

カウンセリング以外の関係性を作ってはならない

という倫理規定があります。

 

心理カウンセリングの料金はあっても、

それ以上に

なにかを買わされるなどの金銭のやりとりはありません。

プライベートにまで関わってきません。

 

割り切った関係とも言えますが、

それと同時に

心理カウンセラーは、利用者さんの

本当の気持ちを一緒に理解していく

心理サポートの専門職でもあります。

 

カウンセリングの中で、

「そう、それが誰にも言えずに隠してきた本心なんです!」と思って、

ある種の解放感、安心を味わうこともあるでしょう。

カウンセラーに対して「この人だけは受けとめてくれた」と

『感動』したとしても不思議ではありません。

 

ですが、

公認心理師や臨床心理士は

その心の隙につけ込むことはできない仕組みなのです。

 

「他では話せないけど、カウンセリングでは安心して話せる」

とおっしゃる方は少なくありません。

そこには、

普段の人間関係では心に隠していることは明かせない…

その一瞬の隙につけこまれるかも知れないから、

人間関係が変わってしまうかも知れないから、

といった意味もあるのかも知れませんね。

※ 当ブログで記す 「心理カウンセリング」 とは

 川越こころサポート室が提供するものを想定しております。

 他機関の専門性を保証するものではないことをご了承ください。    

心理カウンセリングでは、「自分も、そうやってひとの弱みに

 つけこんできた」という心当たりのある詐欺師の方をはじめ、

 これからは改心して生きていこうとする方々のサポートもいたします。

鹿野 豪

川越こころサポート室のロゴ

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