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心に「ある」ということ

扉絵

心は生きています。

生きているので、

されたらイヤなことがあります。

ただし心の事情はもう少しだけ複雑…。

 

今回はそんな話です。

「ある」「あった」の否定

心がイヤがることのひとつ。

今回のブログで挙げるのは、

心の中で意味の「ある」もの・「あった」ものを

「ない」や「なかった」とされることです。

 

たとえば

誰かに意地悪をされて

不快感や負の感情を感じ、

それを誰かに報告したとします。

すると相手から、

心に「あった」不快の感覚に対して、

「そんな風に感じるべきじゃない」と返されたり…。

怒りや悲しみや悔しさの感情がわいたのを、

「本当にそんな感情があったの?」と疑問視されたり…。

そうやって「あった」を否定されたとします。

 

心にとって意味のある「ある」・「あった」が

「ない」・「なかった」とみなされてしまった。

きっと心は穏やかではないでしょう。

たとえ表面上は言いくるめられたとしてもです。

態度はグッとこらえたとしてもです。

次第に心が削られていくような

自己肯定感』の低下に繋がる要因にもなりえます。

「ない」・「なかった」とみなすとき

長期的に見れば、

心に生じた意味の「ある」ものは「ある」、

意味の「あった」ものは「あった」

心の中に収めていくのが安定へと繋がります。

 

他者から「ない」・「なかった」と否定されるのは、

事の次第によっては心の不具合に繋がってしまいます。

 

ただし…、

心というのは少し複雑です。

自分でも「ない」・「なかった」とみなしておいた方が

気が楽な時があるのです。

自分で自分をだます=『自己欺瞞(じこぎまん)』と呼ばれる心理です。

 

『自己欺瞞』は、

心が楽をしたくて安易に用いることもあれば、

心の非常事態で危機を回避するために用いることもあるでしょう。

(1)心理状態、(2)状況や関係性、(3)時

他者(または漠然とした社会)から否定されたり、

自己欺瞞によって目をそらしてしまったり。

そこから改めて

心の中に「ある」や「あった」と

ありのままにしていくことは心の健康に繋がっていきます。

 

ここではそれを可能にする

(1)心理状態、(2)状況や関係性、(3)時

に注目してみましょう。

 

(1)心理状態

自己欺瞞にならずに「ある」を「ある」とみなせるかどうか。

そのためにも、感覚や感情などを受けとめられるぐらいに

落ち着いていて安定した心理状態にあるのか。

 

(2)状況や関係性

目の前の相手から「ない」「なかった」と

やりこめられたりしない、

心理的に安全な状況や関係性なのか。

 

(3)

ありのまま「ある」は「ある」、「あった」は「あった」

と認められる時があり、その時の訪れがあります。

そうしたタイミングなのかどうか。

 

これらが整っているかどうかを見極めるのは重要です。

すぐには実現しないかも知れません。

次第に心が落ち着いていくことを信じる、

ありのままを話せる関係性にしていく、

流れの中でタイミングを待つ

といった考え方も併せておきたいです。

「ある」「あった」の肯定

心は基本的には

心の中で意味のある感覚や思いについて

「ある」や「あった」と

認められることをよしとします。

否定されるとイヤがるという性質の

もうひとつの側面です。

 

とはいえ、

いつもそれができているとは限りません。

心のことは

目に見えませんし、時には相手に伝わりませんし、

実際の思いと言葉での認識はズレが起きますし、

隠そうとすれば隠せますし、自己欺瞞さえするものです。

これらは

誰にとっても当たり前で自然なことです。

 

ときには

(1)心理状態を落ち着けながら、

(2)否定されない状況や関係性において、

(3)自分のペースで時間を使って、

心の中のことを「ある」や「あった」と

確かめるのも良いのではないでしょうか。

鹿野の顔写真

鹿野豪

公認心理師(登録番号 : 2225)

臨床心理士(登録番号:  17852)

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